寺子屋講演会 ネルケ無方さん『青い目の禅僧が説くトマトときゅうりの修行論』

今回は最近HNKの「宗教の時間」やメディアなどで大活躍のドイツ人禅僧ネルケ無方さんに『青い目の禅僧が説く トマトときゅうりの修行論』と題してご講演いただきました。

 

ネルケさんは、学生時代に「生きる」ことに苦悩されキリスト教全盛のドイツで禅に興味を持ち来日、その後、京都大学で学んだり、大阪城でホームレスの方々と一緒に座禅したりと異色の経歴の持ち主です。書籍も多数出されており、特に私の好きなのは『日本人に宗教はいらない』の一冊です。私も海外に住んでいた経験があるので、日本人を日本の外から見る視点を持つと日本のヘンな所とすばらしい所が良くわかります。

 

特に仏教の教えはすでに日本人の習慣や文化に深く入り込んでおり、意識しなくとも多くの方が譲り合ったり(慈悲)、お互いに助け合う(布施)の精神が行き渡っています。

 

兵庫県の鳥取側の山中にある安泰寺で修行僧とともに、自給自足の修行生活をされているネルケさん。その透き通る眼差しは、そこで培われた賜物でしょう。

 

「きゅうりのように1本の蔓から豊かに育ってゆくそんな修行僧を目指し、トマトやかぼちゃのような手間のかかる甘えた修行をしないように」という考え方はとても面白い喩えでした。若いときに安泰寺の師匠から言われた言葉、、、「おまえが安泰寺を作るんだ!」そして、「お前なんか、どうでもいい!」の二言が今のネルケ無方さんを作っているだと確信しました。私も是非、「おまえが瑞岩寺を作るんだ!」「お前なんか、どうでもいい!」の精神でやっていこうと思います。(笑)

 

温和で優しい笑顔の中に、時々見せる厳しい眼差しがネルケさんの修行歴を感じ、多くの聴衆が和やかな中にも真剣にお話を聞いておられました。最後のQ&Aにも快くお答えいただき、多くの悩まれて来寺された方々の助けになったと思います。

 

私もすべての書籍を拝読させていただきました。とても深い内容です。是非、多くの方々がこの書籍に触れられることを願っております。合掌

 

   平成27年10月17日     瑞岩寺住職 長谷川俊道

 

ネルケさんのインタビューは瑞岩寺Podcast番組『HASEの金曜は聴きこみ寺』の【第121〜124回】で聞くことができます!

・ iTunesでお聴きになる方には、

https://itunes.apple.com/jp/podcast/komatta-shino-tingkikomi-si/id624486999?mt=2

・ PCで直接聴取される方には、

http://podcast5.kiqtas.jp/kikikomi/

 

ネルケ無方 

<プロフィール>

1968年3月1日、旧西ドイツ・ベルリン生まれ。7才の時、母と死別してから人生に悩む。16才で坐禅と出合う。高校時代から禅僧になる夢を抱いて、坐禅道場に通い続ける。1990年、春は京都大学の留学生として来日、秋から兵庫県の但馬地方にある曹洞宗・安泰寺に上山。半年間の禅修行。大学のドクターコースを中退、1993年から安泰寺で出家得度。8年間の雲水生活を経て嗣法。2001年から大阪城公園で「ホームレス雲水」として毎朝の坐禅会を開く。2002年に師匠の訃報を聞き安泰寺に戻り、檀家ゼロ、自給自足の寺の堂頭(住職)となる。国内外からの参禅者・雲水の指導にあたって坐禅三昧の生活を送っている。」

主な著書『迷える者の禅修行』、『裸の坊様』『ただ坐る』、『日本人に「宗教」は要らない』、『読むだけ禅修行』『迷いは悟の第一歩』『ありのままでいい、ありのままでなくてもいい』など。

 

ホームページ http://antaiji.org