寺子屋講座-尾角光美さんによる『生きたいと死にたいの間でゆらぐ時』

本年度、寺子屋講座第2弾 尾角光美さん講演会&ワークショップ『生きたいと死にたいの間でゆらぐ時』が終了しました。


尾角光美さんは、19歳で母を自殺により亡くした後、あしなが育英会で病気、災害自殺、テロ等による遺児たちのグリーフケアに携わってきた。自殺予防や自死遺族のケアに関する講演やのケアに関する講演活動を続けている20代の女性。 まだお若いのにそのバイテリティと聴衆を引きつける内容は、彼女の人生が壮絶だった裏返しに違いない。


年間3万人。15年連続の自殺者が日本にはいます。その中には多くの苦しみや悩みがあります。そしてそれをケアできないでいる社会。それをどうにかしたいと立ち上げたのが彼女の『リヴオン』という団体でした。 私個人も「自殺防止ネットワーク風」の相談員をさせていただいているし、年間1~2件の自殺ではなかろうかという葬儀に直面します。遺族に傾聴したり寄り添ったりしても、まだ足りないと感じたことが多かった。


今回の講演で母親を自殺で亡くし苦しみ悩んだ彼女から


①受身ではなく能動的に大切に「聴く」ということ

②自分の軸で相手をJudgeしないこと

③相手のありのまま、感じたままを認めること。


など多くの体験と解決方法や気付きをいただけたことはとても幸いでした。参加していただいた皆さまもワークショップを通じて何かを学んでいただけたと思います。


大切な人を亡くすことは、それまで、なんでもないと思っていた普段の生活がなんと貴重で普通ではないことが初めて気付きます。でも、つらいときには人間は下に成長するんだと思う。その期間がグリーフだと思う。  

 

僧侶は「苦」の中に飛び込むことで成長できると感じています。葬式や法事だけではなく、地域の中心的存在、頼れるお寺づくりをこれからも続けてまいります。尾角さん、誠にありがとうございました。    

   

<プロフィール>尾角光美(一般社団法人リヴオン代表理事)19歳で母を自殺により亡くす。2004年あしなが育英会で病気、災害自殺、テロ等による遺児たちのグリーフケアに携わる。自殺予防や自死遺族のケアに関する講演活動開始。 以来自治体や仏教教団での講演や研修、学校で「いのちの授業」教育を行う。京都JC主催の京都学生人間力大賞で「京都市長賞」受賞。2009年リヴオンを立ち上げ『102年目の母の日』(長崎出版)編著。母を 亡くした人母の日を届ける。同年、自死遺児支援スタート。自死遺児のつどいを開催。石川県勝光寺(浄土真宗大谷派)でお寺におけるグリーフ サポート連続講座を行い、遺族へのサポートの場を産み落とした。2011年浄土宗第5回共生・地域 文化大賞で「共生優秀賞」受賞。


合掌


平成二十四年五月 吉日

副住 職      長 谷 川 俊 道