お寺とお墓について教えてください

◆お寺とは何ですか?

寺院とは仏道修行の場であり仏教布教の場であります。

そこには、一般お建築物とは異なる仏教独特の建物があり、儀式用として用いられています。 また、各檀家の墓地があり、それらの仏様の供養が御住職によって日常的に行われています。さらに付帯事業として保育園、幼稚園、各種文科講座、、、 などを営んでいる寺院もあります。これが寺院の一般的解釈といえます。

 

また寺院には、その人その人のイメージがあります。ある人にとっては、 安らぎの空間であったりします。またある人にとっては、自分と祖先との生命のつながりを強く意識する場所であったりします。

 

お寺を「テラ」と呼ぶのはパーリー語(インドの古代語)で長老を意味するテーラからきたとされています。 中国の漢の時代には外国のお客を接待したり泊めたりする役所の名前を寺と呼んでいたそうです。

 

仏教の僧がインドから来朝したとき、この役所(寺)に泊まったことから僧侶の住居を寺と呼ぶようになりました。 寺院の「院」は回廊を意味し、寺の中に別舎として建てられていました。それをまとめて寺院と呼ぶようになりました。

 

檀家の本当の意味は?

自分の先祖のお墓がある寺院を、一般に菩提寺とか檀那寺と呼んでいます。

檀家の「壇」は梵語のダーナからきており、 布施、施しを意味しています。お彼岸の実践徳目に六波羅蜜がありますが、布施はその一つです。 したがって、本来、仏教信者は布施をしなければならないわけです。

 

日本や中国では、仏教の信者は菩提寺の御住職を通じて、仏教の教え、すなわち法の施しを受けています。 それに対して、信者の側からは財の施しがされます。つまり、寺院と信者は施しあっている関係といえます。

 

菩提寺のことを檀那寺と呼ぶのはそのためです。檀家制度は江戸時代から続く制度で、日本仏教と切っても切れない関係があります。 戦後になって様々な新ん宗教が生まれてきましたが、私たちは先祖が守りつづけてきた、我が家の宗教を大切にしたいものです。

 

寺院に経つ塔の意味は?

寺院には様々な塔が建てられています。五重塔、多宝塔、五輪塔、卵塔、卒塔婆、、、など。バラエティに富んでいます。 塔は梵語でストゥーパと呼ばれています。墓地に建つ卒塔婆はストゥーパが音写された言葉です。

 

昔のインドでは塔は天と地を結び付ける軸を意味していました。仏塔も天空の宇宙と仏舎利(お釈迦様の遺骨)の 連結場として礼拝されていたとされています。

聖徳太子が建てた法隆寺の五重塔は世界最古の木造建築です。 寺院でみられる五輪塔、板塔婆もすべて仏塔が変型したものです。五層になっているのはそのためです。 これは、地水火風空をを象徴したものです。

 

◆寺院に墓地があるのはなぜ?

お墓は亡くなった人の遺体や遺骨を埋める場所で、「葬り(はぶり)のか処」と呼ばれていたのが「はか」になったとされています。

平らなものを「墓」、盛土にしたものを「塚」、高く築かれたものを「墳」と呼びます。一般庶民は墓、貴族などは墳に葬られていました。 ともに上部に石が置かれています。石を置くことによって死霊のたたりを押さえる意味があったとされています。

 

日本では墓地は決まった場所になく、亡くなると適当な場所に葬っていました。

寺院に墓を設けたのは、神護景雲四年(770年)に称徳天皇を大和の西大寺に葬ったのが初めとされています。 墓に石塔を建てるようになったのは平安時代以降になってから。江戸時代になると、一般庶民も墓を建てるようになりました。

しかし、一般庶民の墓石は、台石とともに四尺以下と、徳川幕府によって定めされていました。

 

墓地の購入所有権は?

お墓を購入する、ということは土地の所有権を獲得できると思うかもしれませんが、そうではありません。 墓地を購入するのではなく、「永代使用権」を取得することです。

墓地を購入するときに支払う金額が「永代使用料」 となっているのはそのためです。「永代使用料」を支払うと「永代使用承諾書」が発行されます。 「永代使用権」とは、使用料を納めれば、使用権が永代にわたって継承されるというシステムです。

墓地は他に容易に移すことができない「固有性」と墓石が石であるため「永久性」をもつことになります。 したがって、ひとたび使用権を得ると、その使用権は子から孫に相続され、先祖代々の墓となるわけです。

 

新しい墓石 開眼法要の意味は?

新しくお墓を建てる時は菩提寺のご住職にお願いして「開眼法要」を行います。

開眼とは「魂入れ」ともいいます。 一般の建物に落成式があるように、法要を行ってけじめをつけるわけです。実際、墓石はたんなる石にしかすぎないかもしれません。 だからといって、墓石はたんなる物体ともいえません。そこにも何も存在していないと断定するのはいかがなものでしょうか。

 

私たちは亡き母や父の墓前にぬかづくとき何も感じないでしょうか。たしかに「何か」を実感として感じるはずです。 墓石が故人のシンボルとして何かを語りかけてくるからです。開眼供養は是非行うようにしたいものです。


開眼法要の時期は?

新しいお墓を建てた時は納骨法要も含めて、開眼法要を行いますが、時期について特にきまりはありません。 出席者は近親者で行うのが普通です。時期については、お彼岸、お盆、故人の年回忌に合わせて行うことも多いようです。 この時期に行うと遠方からの人も出席しやすくなるし、式も盛大なものになります。


墓地の改葬をするときは?

お墓を他の場所へ移すことを「改葬」といいます。お墓という存在意味から考えると、必ずしもいいこととはいえません。 しかし、様々な事情で故郷を遠く離れており、墓参りもままならない、こんな時は、「改葬」もやむをえません。 こんな時は菩提寺の住職に相談して今、住んでいる近くの同宗派の寺院を紹介してもらいます。 お墓はかってに動かすと法律に触れます。