お盆について教えてください

◆お盆のはじまりは?

お盆のはじまりは『仏説盂蘭盆経』という経典がもととされています。この経典の主人公は、お釈迦様の弟子で神通第一とされた目連さまです。


ある時、目連さまは神通力を使って亡き母がどうしているか見てみました。

哀しいことに、母は餓鬼世界で苦しんでいるではありませんか。 餓鬼世界は食べることも水を飲むこともできない苦しみの世界です。母は全身、骨と皮ばかりの姿になっていました。

どうしたら母を救えるのか、 目連さまは、お釈迦さまに助けをもとめました。お釈迦さまは「目連よ、お前の母は罪が重い。人に施すことをせず、自分勝手な人間だった。 だから餓鬼道におちたのだ。」と諭されました。

お釈迦さまの教えに従い、目連さまは、7月15日に諸仏衆僧をに供養して、母の追善供養をしていただきました。 その結果、母は餓鬼道から救われました。

このお話しがお盆のはじまりとされています。


目蓮さまの母は悪い人だったのか?

じつは、目連さまの母は決して悪人ではありませんでした。

ただ、とても貧しく、子供も多かったため、自分の子供たちのことで精一杯で、 とても他人のことを考えるゆとりなどなかったのです。それで餓鬼道に落ちたのです。

ちょっと、酷なような気がしますね。


くりかえしになりますが、目連さまの問いに対して、お釈迦さまは、「十方の衆僧を7月15日に供養せよ」と説かれました。 十方の衆僧とは、すべての修行僧のことです。つまり、お釈迦さまは、母親だけではなく、すべての修行僧に施しをすることが大切と説いたのです。

その結果として母親も救われる、これがお盆のもとの考え方であり、お釈迦さまの教えだといえます。


お盆という名前の意味は?

私たちがふつうにお盆と呼んでいるのは、正式には盂蘭盆と呼びます。

盂蘭盆とは梵語(昔のインドの言葉)のウランバナを音訳したものです。 ウランバナとは「倒懸」と訳されています。意味は「さかさまにつるされた苦しみ」と説明されています。もし自分の先祖が、 そのような苦しみを受けているとしたら、なんとしても救ってやりたい、生きているものであれば、そう願わない者はいません。


これとは異なる説もあります。イラン語の「ウルヴァン」がその語源だというのです。ちなみに、イラン語では「魂」を意味する言葉です。 もうひとつは、古代日本語の「ボニ」が語源だという説です。ボニが「ボン」になったというわけです。ボニとは、先祖の供養の品をのせる器のことです。 いまでもものを乗せる平たい器を「おぼん」と呼んでいます。


盂蘭盆の歴史は?

もともとは、インドで行われていた農耕儀礼が仏教の夏安居の修行の終わる日に寺院で営まれる僧自恣の日と習合したものとされています。

日本でも盆行事の歴史は古く、正月とならぶ二大行事として営まれてきました。


『日本書紀』によると推古天皇十四年(606年)に 「この年より初めて寺ごとに、4月8日、7月15日に設斉(おがみ)す」とあります。4月8日は灌仏会(花まつり)のことです。 また、盂蘭盆という言葉が見えるのは、斉明天皇三年(657年)のときで、「須弥山の像を飛鳥の寺の西に作りまた、盂蘭盆の会を設けき」とあります。


平安時代は宮中においても、盂蘭盆会は盛んにおこなわれるようになりました。この頃になると盂蘭盆の行事は、 衆僧に飲食の器物を送る事で終わるものでなくなり、亡き父母、近親亡者にそれが届くことが期待されるようになりました。 鎌倉時代には武士の社会にも広がり、江戸時代には、現在のような行事が定着しました。


お盆に訪れるお客さまはなんでもお見通し

日本では昔から、年に2回、御先祖さまが訪れると信じられてきました。一回はもちろんお盆の時期です。もう1回は正月です。 亡き人が訪れるのは特別の日で、昔から日本では、さまざまな行事を営み、御先祖さまをお迎えしてきました。


とりわけお盆の数日間は、御先祖さまが肉親のもとにとどまってお休みされているのですから、手厚くお迎えしなければなりません。 日本人はそのように信じてきたのでした。もともとは、その家の人だったのですから、なんでもお見通しです。ぜひとも幸せに暮らしている姿、 一所懸命に生きている姿を見せたいものです。


お盆の期間はあの世も夏休み

「地獄の釜のふたがあく」お盆の16日は、そういう日といわれています。実は、正月の16日も同様の意味があります。 この日は地獄の鬼たちも罪を責める仕事を休むとされています。どうやら、地獄の鬼といえども、一年中休みなく働いているようではないようです。 「地獄で仏」「地獄で御地蔵さま」といわれているように、仏さまは恐ろしい地獄にもおられるようです。いいかえれば、現実社会において、 どんなに苦しい時であっても、必ず救いはあるといえないでしょうか。不況、倒産、リストラ、日本は大変な時代ですが、自暴自棄にならず、 常に前向きに生きたいものです。地獄にさえ仏はいるのです。


日本では、お盆休みが夏休み

日本で一番長いお休みはお盆休みと正月休みです。毎年、お盆の時期になるとみられる「民族大移動」。都会で働いている人々が、 この休みを利用して故郷に帰ることをこう呼んでいます。


お盆は帰ってこられる御先祖さまを供養する期間です。御先祖さまと同時に、 この世にもある人も帰ってきます。故郷には、なつかしい父母、兄弟、知人が待っています。


いまでは、ほとんど使われていませんが、 「ヤブ入り」という言葉があります。

嫁にいった娘や商家などで働いている子供たちが戻ってくる日です。旧暦の7月16日と正月でした。 いまでは信じられないかもしれませんが、昔の奉行人は、ほとんど休みという日がありませんでした。待ちに待った日、それがヤブ入りです。

「薮入り」という字を見ても、まさに、都会から緑深い故郷に帰ることを意味しているといえます。このように日本人の生活習慣の中には、 お盆の考え方が根底にあります。


父母との出会い、親類縁者との親交

お盆の意味は亡き御先祖に感謝し供養することですが、お盆には、もうひとつの意味があります。お盆の効用といってもいいかもしれません。

それは家族、親類縁者が一同に会するということです。


このような機会は、一年を通じて正月とお盆くらいしかありません。 お盆は『仏説盂蘭盆経』に由来します。このお経を読んでわかることは父母への孝養を強調していることです。つまり、生見玉の背景があるのです。


生見玉とは、家を出て外で働いている若者たちが親に逢いに来る日のことです。その日は、生きている親の「みたま」と体面して食事をしてお互いの健康や長寿を祝う行事です。 お盆の帰省は、この生見玉の名残りといえないでしょうか。


精霊棚をしつらえる意味は?

御先祖の霊をお迎えするために準備はしっかりしておきたいものです。お盆に帰ってこられる御先祖さまを「精霊さま」と呼びます。 そのためにしつらえられるのが「精霊棚」です。「精霊棚」は帰ってこられた御先祖さまがしばし休息をする場所です。果物や野菜などを供え、 御先祖さまをもてなすのです。

「精霊棚」のキュウリの馬、ナスの牛は、御先祖さまの乗り物とされています。


お盆の行事(迎え火、墓参り、送り火、灯籠流し)の意味は?

経典によると、お盆は7月13日から16日の4日間とされています。しかし、月遅れの8月13日から16日に行う地方も多いようです。


★迎え火(13日)

精霊棚を飾り、夕方になったら盆提燈に火をともし、御先祖さまを迎えるために、家の門口などで火を焚きます。 このときに焚く火が迎え火です。この火をたよりに御先祖さまが帰ってくるとか、燃やした煙にのって御先祖さまの霊が帰ってくるとされています。 また、地方によっては、13日の夕方に御先祖さまが眠るお墓に出向いて迎え火を焚き、その火と盆提燈にいれて持ち帰るという習慣もあります。 これを「迎え盆」といいます。火を焚くのは御先祖への思いやりの心です。御先祖に対する供養の心が火を焚く行為だといえます。


お墓参り(14、15日)

この期間に御先祖のお墓参りをされたらよいでしょう。しかし、お墓参りは14日と15日に決まっているわけではありません。 都合によっては他の日でもかまいません。お寺で法要があれば参るようにします。精霊棚にも故人の好物などを供えるようにします。 お供えするものが決まっている所もあるようですが、家族の食べるものでもよいでしょう。


送り火(16日)

16日の夕方、家の門口で焚く火を送り火といいます。この日は13日に訪れた御先祖さまの霊がお帰りになる日です。 送り火は御先祖さまがあの世に帰っていくときに迷わないように照らしてやるわけです。地方によっては、村全体で河原などで大きなかがり火を焚き、 村おこしの事業として行っているところもあるようです。おおぜいの見物人が訪れ盛況のようですが、御先祖を送るという本来の主旨は忘れたくないものです。 京都の大文字焼きもただ枯れ草を焼いているというわけではありません。あれも実は送り火なのです。


灯籠流し(16日)

16日夕方に「燈籠流し」といって、お盆のお供え物や飾り物をまとめて、小さな舟に乗せて川や海に流す習慣があります。 御先祖さまの霊を流すことから「精霊流し」とも呼びます。「燈籠流し」は先祖の霊を送る儀式として、昔はごく普通に行われていました。 ところが近年は、川や海の汚染などの環境問題もあり、なかなか難しくなってきました。とても風情のある行事ですが、仕方ないのかもしれません。 お盆のお飾りを流すのは無理としても、「精霊流し」用の燈籠くらいは流したい気もします。これについては、水にとける燈籠を開発して話題になったことがあります。


盆踊りの意味は?

盆踊りの始まりは、お釈迦様の弟子の目蓮さまが、母が救われたのを喜んで踊りだしたのが始まりとされています。

もっとも日本では、 仏教伝来以前からこのような風習はあったようです。日本古来の踊りと仏教の先祖供養の考え方と結びついたのが、いわゆる盆踊りといえます。


祖霊を歓迎して後に送るための盆踊りといってもいくつかの型があります。寺院の境内を輪になって踊るもの、阿波踊りのように行列になるもの、乱舞式のものなどがあります。