本年度、寺子屋ライブ 坂岡嘉代子さん講演会&歯ぐるま太鼓『いのちの鼓動を響かせろ~ひとりにはひとりの光がある~』が終了した。
自立更正支援スクール『歯ぐるま』代表・坂岡嘉代子さんは、和太鼓を通じ、ろうあ者や非行、虐待、ひきこもりなどで心を閉ざす子どもたちを導く「お母ちゃん」。現在代表をつとめる福井県の『はぐるまの家』で非行からの立ち直りを目的とした子どもたちとの共同生活をされています。
「一人一人に光がある」「落ちこぼれなんて一人もいない。」「自分の光を自分で見つけ、自分で光る」の心境で青少年育成に尽力され各地で講演活動などをを行っている。
今回は、演題『一人にはひとりの光がある』と題して、ご講演をいただきました。
また、演奏した和太鼓『歯ぐるま』は、自立更正支援スクール『はぐるまの家』のメンバーで構成されているグループで、生活のカリキュラムのひとつとして、和太鼓の練習を取り入れ、規則正しい生活の中で、精神と肉体の鍛錬をするとともに、仲間のみんなと一緒に汗を流すこと、共同でなにかをつくりだすことを学びながら、個々それぞれの想いをバチに込め、日々練習に励んでいるそうです。
88年にプロデビュー後、芸術祭やチャリティコンサートなどで各地を公演。また、アメリカやドイツ、スイス、バングラディシュ、タイなどで海外公演もされている。そして、2003年には法務大臣賞を受賞された。すばらしいパフォーマンスだった。
幼児期に虐待を受けたり、親の愛情を精一杯受けることができずに、「歯ぐるま」が狂ってしまった。子どもたち、、、、親からアイロンを押し付けされたり暴力を振るわれたり、食事を与えられなかったり、生まれてすぐに親から離されたりしたら、普通の大人でも耐えられまい。まして、幼少期だったら、いわゆる「壊れてしまう」ことは当然だろう。「壊れて」しまった子どもたちは放火をしたり、暴力行為を振るうようになってしまう。 そんな将来を親は想像できないでいる。
そんな子どもたちと寝食を共にし、苦しみも喜びもともに共有し、すでに1000人近い子どもたちを世の中に送り出し続けておられる。「人の苦しみを音よりも早く救い続ける」まるで「観音さま」のようだ。坂岡さんとお話ししていると優しい語り口の中に、厳しい眼が光る。今までのすさまじい体験がそうさせているに違いない。
演奏中もお寺に宿泊したときも、彼らの過去に想像もできないことがあったことは微塵も感じられないほどの皆好青年だった。イケメンでもあった。礼儀正しく、朝も6時起床。演奏中も足音ひとつ立てない。食事のあと片付けも、率先してやっていた。普通の高校生がここまでできるだろうか?
人は「多くの人から見守られている」と感じられることが大切だろう。自分はひとりじゃない。多くの人々との関係性の中で自分を認識に尊重でき相手も思いやることができよう。そうすれば自分の「いのち」を人生を無碍にしようとはしない。人間は上にも成長するが、下にも成長すると信じている。その人間の幅が彼らのすばらしさになっていると確信した。
<プロフィール>■坂岡嘉代子さん講演会&歯ぐるま太鼓活動歴 1977年 福井県武生市にて結成。 1981年 東京NHKホールにて国際障害者年・国民会議アトラクション出演。 1988年 大阪にてプロデビュ ー。大阪フェスティバルホールにて、服部克久音楽監督による「新春花のステージ」出演。大阪シンフォニー楽団・ジュディオング、松崎しげるらと共演。 1993年 アメリカ公演(ミスー゛リー州・メディカルプリズン慰問)。 1994年 東京国立劇場「日本の太鼓」出演。 1995年 阪神大震災チャリテイーコンサート。世界体操選手権オープニング・サンドーム福井出演。福井音楽芸術祭・ジョージ川口氏らとのセッション出演。 1996年 大阪城ホールにて鬼太鼓座、残波太鼓らと共に、スイス公演(エイズホスピス・アンカーハウス慰問)。 1997年 結成20周年記念公演「闘いの道」鯖江市文化会館開催。スイス4都市公演(日本大使館及び赤十字依頼公演)。岡山県長島愛生園ハンセン病収容施設慰問(癩予防法撤廃記念)。 1998年 東京虎ノ門ホール・大阪中央公会堂にて公演。北海道厚生年金ホール公演。 1999年 東京晋門館公演。 2000年 FBCテレビ局・レディースサロン公演(4年連続)。ドイツに於ける和太鼓「和同響グループ」育成。 2001年 沖縄読谷ホール公演(カンボジア難民児童支援コンサート)。大阪国際会議場コンサート。 2003年 法務大臣賞受賞。タイ「生き直しの学校」スラム街・バングラディシュの小中学校などで公演。 2004年 福井新聞文化賞受賞。バングラディシュ オスマニーホール(日本大使館主催)などにて公演。 2006年福井刑務所慰問25周年記念事業。07年和太鼓はぐるま結成30周年記念公演「今・心は何処に向かうべきか」(赤い羽根共同募金配分事業)。その他、全国小中学校などの学校文化祭、芸術鑑賞等を巡る活動を続けている。
合掌
平成二十四年九月秋彼岸
副住職 長 谷 川 俊 道