「大本山永平寺感動の旅」無事終了いたしました!

 隔年で恒例になっております瑞岩寺主催『大本山永平寺感動の旅』の企画無事終了させていただきました。このツアーは大本山永平寺に参籠(お籠り修行)することがメインであり、20数名の参加者の方々の中には何度も参加される方もおられました。座禅、丸子老師による法話、映画、200名以上もの雲水による朝のお勤めと普段味わうことができない「禅」の世界を体現されたようです。

 

 永平寺は今から約770年前の寛元2年(1244年)、道元禅師によって開かれた曹洞宗の大本山永平寺であり〜深山幽谷、まさにその響きのごとくであります。三方を深遠の山々に囲まれ、南側に永平寺川の流れを持つ深い谷あいにあり、老杉の中に佇む霊域を訪れるものは皆、凛を張りつめた森厳な空気に背筋を伸ばします。

 

 永平寺を開いた道元禅師は正治2年(1200年)に生まれ、幼くして両親を亡くし世の無常を感じて14歳のときに比叡山で出家。その後京都建仁寺で栄西禅師の教えを受け、24歳で中国・宋へ渡り「座禅」という仏の教えを受け継ぎました。帰国後、越前志比荘の地頭・波多野義重のすすめで都から越前に移り、この永平寺を建立されました。道元禅師が伝えた禅は「修証一如」(修行は悟りのための手段ではない。修行と悟りはひとつ)という考えに基づくもので、「只管打坐」(ただひたすらに座禅すること)の姿勢を重視されました。当然ながら永平寺における修行は座禅が中心であり、起床から就寝まで日常生活の作法すべてを修行としています。

 

 そもそも禅はインドの達磨大師が広めたものでありますが、世界で広く知られている禅(ZEN)といえば今や日本の禅。なかでも永平寺は総持寺(横浜市)とともに全国に1万5千ケ寺の末寺をもつ禅宗の中心的存在であり、禅道場の最高峰ともいわれる境内には常に緊張感が漂っています。ここに来ると750年の時を超えて五感を研ぎ澄ませ、道元禅師が伝えた“禅のこころ”に直接触れてみることができます。

 

 10万坪の境内には70あまりの堂塔が点在します。中でも重要なのは、「七堂伽藍」と称される、山門、仏殿、法堂、僧堂、庫院、浴司、東司の7つのお堂。永平寺の正門である山門、釈尊の釈迦牟尼仏を安置する仏殿、説法や法要が行われる法堂、座禅・食事・就寝が行われる修行僧の根本道場である僧堂、食事をつかさどる庫院は一般にいう台所であり、東司はお手洗い、浴室は身を清める場。なぜこの7つが重要なのか。〜永平寺では200人もの雲水とよばれる修行僧が道元禅師が定めた厳しい作法を守りながら日々修行に励みます。「午前3時半の起床を告げる振鈴から午後8時50分の開枕鈴まで、座禅をはじめ食事、掃除、入浴、洗面、日常のありとあらゆる作法が修行であり、七堂伽藍はその日常に欠かすことのできない場所なのです。すなわち、禅の修行は仏の姿を倣って日々の行いの一つ一つを座禅と同じ心で勤め、それを実践すること」なのです。

 

 寺内各所で雲水のひたむきな姿を伺い知る事ができ、たまタイミングが合えば、日々執り行われる儀式を目にする事もできます。僧の昼食時である午前11時半頃には、大庫院から僧堂に祀られている文殊菩薩さまに対して九拝する「僧食九拝」が行われます。雲水らの無駄のない立ち居振る舞いや一糸乱れぬ所作を間近で見ると、その緊迫感に息を飲んでしまうほどで日本一の修行道場と呼ばれる永平寺ならでは厳かな光景です。さて、禅宗特有の伽藍様式で禅宗では伽藍配置を人体図に見立て、頭が法堂、心臓が仏殿、左手が庫院、右手が僧堂、左足が浴室、右足が東司。さらに7つのお堂はすべて回廊で結ばれています。雲水らによって美しく清められた回廊はさながら仏の教えを脈々と伝えめぐらせる血管でしょう。また、その回廊のほとんどが階段いなっていることから、山の斜面に建っていることがよくわかります。私も3年半過ごしましたが「最も高い一にある法堂から一望する景色は何度見ても美しい」ものです。それも修行三昧の中だからこそ自然の色や音が豊かに感じられたのだと思います。永平寺では座禅や写経、1泊2日の参禅研修も可能なので、禅の世界に触れる貴重な体験をしてみてはいかがでしょうか?   

 

            平成28年6月吉日 瑞岩寺住職 長谷川俊道

 

<「永平寺参拝ツアー」に参加された方の感想文>

 

 丸子副監院の法話で、『正法眼蔵』の「よろづをいとふ心なく、ねがう心なく、これを佛となづく(マイナスをいとわず、プラスを願わず、これを仏という)」というお言葉がとても印象的でした。面倒なことや嫌なことを避けているのではないか。それでいて心は幸せばかり願っているのではないかと考えるきっかけを与えてくださりました。

 また、朝課では大勢の修行僧による読経が物凄い迫力で、ありがたいとはこのことだなと感じました。

                                  大泉町 T様より

 

 「永平寺の宿坊に泊まる」何年も前から希望していた事でした。願っていれば叶う事を実感しました。夫と息子と三人で暮らしているゆるいしあわせな日々、久し振りに緊張した宿坊での時間でした。丸子副監院様の法話の中の「ひとりごと」という詩、これからの私の人生において、ひとりごととして口にしていきそうです。頭や心に中身の濃い教えを頂きました。今回このツアーに参加させていただきありがとうございました。

                                  大泉町 K様より

 

 初めて参加させていただきました。一日目、二日目共に行動する毎、心がひきしまる思いで心静かに自分に向き合えた一時でした。日常の慌ただしさに流されている自分を深く反省。心の持ちようなのかな。本当に大切な事は強い意志を持たねばなと、心洗われた気持ちです。これをまず家族に、周りの人達にと思います。ありがとうございました。

                                  大泉町 M様より

 

 坐禅、法話、食事、宿坊での睡眠、朝のおつとめ、みんな初めての経験でした。ほんの少しですが、目にうつるもの、感じることが違ったような気がします。無駄口をつつしむと考える事、感じる事が深くなるように思いました。

                                  大泉町 I様より

 

 個人では体験できない事もでき、有意義な二日間でした。

集合写真待っています。

                                  伊勢崎市 S様より

 

 今回初めて参加させて頂きました。以前から永平寺の修行体験をしたいと思っていたので、案内を頂いて本当にラッキーでした。食事の作法や坐禅で警策を体験させて頂いたり、丸子先生の法話はとても勉強になりました。何より修行僧さんの所作が素晴らしかったです。感動の旅をありがとうございました。

                                  前橋市 K様より