今回は、テレビやラジオ・書籍も500冊以上出版され仏教をわかりやすく説かれておられる宗教評論家のひろさちや先生に、『阿呆のすすめ』と題するご講演をいただきました。
皆さんは「阿呆」と「馬鹿」の違いをどう思いますか?
大阪出身のひろ先生は、なにか問題が起きた時に、解決できるのが「利口」。
解決しようと四苦八苦して、解決できないのが「馬鹿」。
そして、問題を解決しないで抱えたまま楽しくやろうというのが「阿呆」
だとおっしゃいます。
私たちは何か問題が起こると、それを解決しようとしますが、
ひろ先生は、解決しようと「あくせく、いらいら、がつがつ」する「馬鹿」よりも「阿呆」になって解決せずに「のんびり、ゆったり、ほどほど」に生きていくほうが楽しいのではないかとお話しされ、問題を受け入れる時に唱える言葉まで教えてくださいました。それが「南無そのまんま」を3回唱えるというものです。
ではなぜ、問題を解決せずに受け入れるのでしょうか。
それは、問題の原因にはさまざまな因縁がからんでいるため、どれほど悩んでもわからないからです。わからないことを悩んでも仕方がありませんよね。
つまり、「“わからない”ことが“わからない”ことだと“わかる”」ことが大切で、それが仏教でいうところの悟りであり、「阿呆」な生き方だと言えます。
また、ひろ先生は、苦しんだこと、悲しんだ思い出が、極楽浄土に旅立つときのお土産になるとおっしゃいました。
神仏の時間にしてみれば、人間の人生などあっという間です。ほんのわずかな時間、「阿呆」になってすべてを受け止め、自分に与えられた役割をしっかり生き、苦しみや悲しみの思い出は浄土への土産にしてしまう。それを仏様も期待されているだろうとお話を結びました。
先生の著書には道元禅師さまの『正法眼蔵』をわかりやすく解説したものもございます。是非、お読みいただければと存じます。合掌
平成28年10月22日 瑞岩寺住職 長谷川俊道
ひろさちやさんのインタビューは瑞岩寺Podcast番組『HASEの金曜は聴きこみ寺』の【第173〜176回】で聞くことができます!
・ iTunesでお聴きになる方には、
https://itunes.apple.com/jp/podcast/komatta-shino-tingkikomi-si/id624486999?mt=2
・ PCで直接聴取される方には、
http://podcast5.kiqtas.jp/kikikomi/
<プロフィール>
ひろさちや
本名:増原良彦(ますはらよしひこ)
1936年 大阪市に生まれる
1960年 東京大学文学部インド哲学科を卒業
1965年 同大学院博士課程を修了
仏教を中心に宗教をわかりやすく説き、多くの人々の支持を得る。
宗教思想の研究、講演などに活躍。
(著書)
「狂い」のすすめ (集英社)
釈迦とイエス (新潮社)
ひろさちやの般若心経88講 (新潮社)
仏教に学ぶ老い方・死に方 (新潮社)
ポケット般若心経 (講談社)
仏教はじめの一歩 (春秋社)
「いいかげん」のすすめ (PHP文庫)
など500冊以上。